大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

神戸地方裁判所 昭和58年(わ)116号 判決

裁判所書記官

和田耕一

本店所在地

兵庫県姫路市亀山二〇六番地

イオキ商事株式会社

右代表者代表取締役

植村隆行

本籍

兵庫県姫路市東雲町二丁目一番地

住居

同県同市飾磨区恵美酒六一〇番地の五

会社役員

植村隆行

昭和一二年四月一日生

右イオキ商事株式会社及び植村隆行に対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官儀部泰一及び弁護人宮内勉、同川端俊江出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人イオキ商事株式会社を罰金三、八〇〇万円に、被告人植村隆行を懲役一年二月に各処する。

被告人植村隆行に対しこの裁判の確定した日から二年間右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人イオキ商事株式会社(以下、「被告会社」という。)は、兵庫県姫路市亀山二〇六番地に本店を置き、穀類卸売業を営むもの、被告人植村隆行は、同会社の代表取締役としてその業務全般を統括しているものであるが、被告人植村隆行は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、

第一  昭和五四年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度における実際の所得金額が一億五、六九六万三八三円でこれに対する法人税額が六、一八四万六、七〇〇円であるのに、公表の実際仕入高に対応する架空売上及び実際売上高に対応する架空仕入を計上することにより売買益を圧縮するなどの方法により所得を秘匿した上、同五五年二月二九日、兵庫県姫路市北条字中道二五〇番地所在の所轄姫路税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得が五五八万三、一六一円で、これに対する法人税額が一四六万六、〇〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により右事業年度の法人税六、〇三八万七〇〇円を免れた

第二  同五五年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度における実際の所得金額が六、八九一万三、〇六九円で、これに対する法人税額が二、六六三万一、五〇〇円であるのに、前同様の方法により所得を秘匿した上、同五六年二月二八日、前記姫路税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が二五四万九、〇八三円で、これに対する法人税額が六二万円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により右事業年度の法人税二、六〇一万一、五〇〇円を免れた

第三  同五六年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度における実際の所得金額が二億四、〇九八万二、八七二円で、これに対する法人税額が一億一二万六、〇〇〇円であるのに、前同様の方法により所得を秘匿した上、同五七年三月一日、前記姫路税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が六三〇万二、七五四円で、これに対する法人税額が一七六万四、二〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により右事業年度の法人税九、八三六万一、八〇〇円を免れた

ものである。

(証拠の標目)

一、被告会社代表者兼被告人植村隆行(以下、単に「被告人」という。)の当公判廷における供述

一、被告人の検察官に対する供述調書

一、被告人の収税官吏に対する供述調書一四通

一、福田博志、小山多美子、道岡一二三の検察官に対する各供述調書

一、中島司和、植村清(二通)、植村志賀子(二通)、福田博志(四通)、小山多美子(二通)、山本剛、五百城伸嗣森朝子、道岡一二三、村上悦夫、佐藤舜三の収税官吏に対する各供述調書

一、収税官吏作成の査察官調書一八通

一、収税官吏作成の脱税額計算書(三通)、同説明資料(二通)

一、姫路税務署長作成の証明書四通

一、神戸地方法務局姫路支局登記官作成の登記簿謄本

(法令の適用)

被告会社及び被告人植村隆行の判示第一及び第二の各所為はいずれも昭和五六年法律五四号附則五条により同法による改正前の法人税法一五九条(被告会社については、さらに同法一六四条一項)、判示第三の各所為はいずれも法人税法一五九条(被告会社については、さらに同法一六四条一項)に該当するところ、被告人植村隆行の判示第一ないし第三の各罪につき所定刑中いずれも懲役刑を選択し、被告会社、被告人植村隆行についき以上の各罪はそれぞれ刑法四五条前段の併合罪であるから、被告会社については同法四八条二項により各所定の罰金を合算した金額の範囲内で、被告人植村隆行については同法四七条本文、一〇条により最も重い判示第三の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で、被告会社を罰金三、八〇〇円に、被告人植村隆行を懲役一年二月に各処し、情状により同法二五条一項を適用して被告人植村隆行に対してこの裁判の確定した日から二年間右の刑の執行を猶予することとする。

そこで、主文のとおり判決する。

(裁判官 小林充)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例